情熱大……楽 (DSP篇)

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ぼくとグレンくんのたび 2010/4



2010年3月1日。

午後13時05分。

ぼくと、相棒のグレン君は、「しっぴつ」という旅に出ました。

そうですね。

この旅でぼく達が目指したのは、北海道の摩周湖です。

東京→北海道摩周湖。

陸路を駆使して、一ヶ月もあれば辿り着ける計算でした。

とりあえず上野行こうと思って、ふたりで山の手線乗りました。

駅弁買いました。

楽しい旅になるな、と思いました。

グレン君との会話は弾みました。


一ヶ月後。4月1日。

ぼくとグレン君は、富士の樹海にいました。

ぼく達の雰囲気はとっくに不穏なものになってしました。

ダイラク「チッ……。どっこやねん、これ……! 摩周湖どこや!?」

ガサガサ。顔に当たる見た事もない不気味な植物を払いのけながら吐き捨てるぼく。

グレン「オ、オイ……。本当に摩周湖へ行く道はこっちであっているのか?」

ダイラク「黙れっ! 喋りかけるなっ!」

テンパってるぼくは彼を一喝しました。

ダイラク「ハァ、ハァ、傭兵ごときがっ……。主に逆らうな! この俺が道を間違えたことがかつて一度でもあったか!?」

グレン「い、いや……お前は今まで出した11冊の本すべてで、毎回遭難してたような……」

ダイラク「ハァ、ハァ……グレン、覚えとけ。美しい光景を見るにはな。それなりのリスクをはらわなアカンねん。この富士の樹海は、俺らに与えられた必要な試練やねん」

グレン「わ、わかった……。おれが間違っていた。共に行こう。どこまでも」

ぼく達は旅を続けました。

それから9日が経過しました。


4月9日。

旅を始めてから一月と一週間。疲労はピークです。

電話もばんばんかかってきます。

ブーンブーン……樹海を行く僕の携帯が震えます。

ダイラク「やっべ……。編集さんからや……」

僕は天を仰ぎました。

グレン「? 編集サン? 誰だそれは?」

ダイラク「神。ゼウス」

グレン「そのゼウスから何の用でお前に電話がかかってくるんだ?」

ダイラク「お前……アッホか? あのなぁ! 俺らの旅は時間制限ありなんじゃ! 4月1日にはゴールする約束で俺ら動いてんねん! いまもう4月9日やぞ!? 現在位置確認の電話に決まってるやろ!」

ぼくはびびりつつ、携帯電話をとりました。

ダイラク「どうもー。オツカレさまです」

ゼウス「おつかれさまです。富士見書房のゼウスです。原稿のご状況はいかかですか?」

ダイラク「そうですね……」

ぼくはあたりを見渡しました。

行けども行けども広がってる、陰気な樹林。

顔にむらがってくる、おびただしい数の蝿、虻、蚊。

まごうごとなき、富士の樹海。

ダイラク「……とりあえずいま、函館まではきてるってかんじですね」

でも、ぼくは言い張りました。

ゼウス「……なるほど。そろそろ本当にヤバイのでよろしくおねがいします。ではお待ちしております」

ガチャン。ツーツーツー。

グレン「オ、オイ……」

電話後。グレン君が驚愕の目でぼくを見ていました。

グレン「お前、函館って……」

ダイラク「黙れっ! 喋りかけるなっ!」

ぼくは彼を一喝しました。

ダイラク「お前、いえんのか? 既にロスタイム入ってんのに”いまぼく富士の樹海です~”ってゼウスにいえんのか!? 裁きの雷で焼き尽くされるわボケッ! 今日中に函館行けば問題ない! 走るぞ!」

グレン「わ、わかった……。共に行こう。どこまでも」

ぼくらは樹海を走り始めました。


4月15日。

ぼくらは走り続けました。

ただただ無策無闇に樹海を突っ走りました。

しかし、人間頑張れば、なんとかなるもの。

走り続けると。突如樹海の木が途切れました。

ぼくらは樹海をとうとう飛び出したのです!

ダイラク「や、やっと摩周湖か……?」

ホッとして、周囲を見渡すぼく。

樹海を抜けた先、そこにあったのは――

赤黒い大地。

煮えたぎる灼熱マグマの沼。

空のない、岩盤の天井。

ようするに、更なる迷宮。地底世界への入り口でした。

ダイラク「う……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 何故だ、何故だ神よ!?」

僕は慟哭しました。地面を血が出るまで拳で殴りつけました。

ダイラク「何故俺にこんな仕打ちをする!? 俺がなにをしたというんだ!?」

グレン「いや、お前が無策無闇に走りまわったのがすべての……」

ダイラク「黙れ!」

ブーンブーン。そんな修羅場の中。電話がかかってきます。ゼウスでした。

電話とります。

ゼウス「おつかれさまです。富士見書房のゼウスです。(スケジュール的にとんでもないことになってますけど)原稿のご状況はいかかですか?」

ダイラク「そうですね……」

僕は周囲の地底世界を見ながら、いいました。

ダイラク「いま地底世界です(泣)」

正直にいいました。

ぼくは泣きました。

もはや白旗あげるしかありません。

グレンも隣りで泣いてました。

ゼウス「地底世界? え……えぇぇ!?」

ゼウスは困惑しました。

そして、とりあえずいまできたところまで原稿送って、何故摩周湖に辿り着けないのかアドバイスをもらうことにしました。

ダイラク「さてと……」

その間。ぼくは立ち上がり、歩き出しました。

グレン「? どこに行くんだ?」

ダイラク「? 池袋やけど?」

グレン「……? イケブクロ?」

彼は困惑の表情を浮かべました。

ダイラク「いや、バイト」

当然バイトもありました。(まぁ終盤だいぶおやすみもらったけど)

グレン「………お前。樹海や地底世界から、どうやって毎日池袋まで出勤してるんだ?」

ダイラク「それが不思議なもんで、バイトまでは迷わず行けるねんな……」

ぼくはその頃、わざわざ地底世界から池袋に行って、夜にまた帰ってくる生活をしていました。

ブーンブーン。夜。携帯電話。ゼウスです。

ダイラク「どうも」

ゼウス「原稿読ませていただきました。ありがとうございます。で、問題の箇所なんですが……。中盤のこの地点。違う道に行ったほうがよくないですか?」

ダイラク「ふう……」

僕は失笑しました。やれやれだぜ。

ダイラク「ゼウスさん。あのね。そんなことはわかってるんですよ。でもね、そっちの道は、75手後ろに、詰みがあるんですよ。だから僕はその道はあえて避けて――――」

解説者きどりで事情を説明しようとする僕。

が。

「あ……?」

しかし喋りながら。ぼくはとんでもないことに気づいてしまいました。

(あれ……? あのルート。二三金で、ぜんぜん詰みじゃないような……)

僕は――――
とんでもないことを見落としていることに気づきました。

終盤で話が破綻する為、中盤で封印した展開が、よく考えたら、なんとゴールまで通じてることに気づいたのです。

ダイラク「やっべ……戻るぞグレン!」

グレン「了解した」

ダイラク&グレン「ルーラ!」

僕らは電話をきって即ルーラで上野まで戻りました。ちなみに原稿の好きな地点に戻れる呪文ルーラは小説家なら全員習得しています。

ちなみに上野に戻った理由は、道を間違えたのが上野だったからです。

僕は上野の時点で、既に北海道とは逆方向の、熱海へ向かう電車へ飛び乗っていたのが原因だったのです。

そこからぼくとグレンは全速力で摩周湖へ走りました。

で、まぁ、当然そこからも、列車強盗との死闘、旅費がそこをつきる、駅弁の食いすぎて胃が壊れる、等の二転三転のトラブルもあったんですが……

今日、4月26日の午前中。

ぼくらは、ようやく、摩周湖まで辿り着きました!


ダイラク「ここが摩周湖か……」

グレン「長かったな……」

目の前に横たわる、神秘の湖、摩周湖。(行ったことないけど)

その景色に、ぼくらは、あまりに長い旅を思って泣きました。

原稿をありえないくらい限界までひっぱってもらって、結果、戦いは、60日に及んでいました。


ダイラク「じゃあな。いろいろ悪かったな」

グレン「ああ。また、近いうちに」

そしてぼくらは現地解散しました。

原稿も送りました。無事入稿できました。

こうして、ぼくとグレン君の三度目の旅は、ひとまず幕を下ろしたのでした。






――以上。

ここ一ヶ月ぐらいの出来事をおうとまぁだいたいこんなかんじです。


というわけで、浮上です。

その他もろもろは翌日以降で。
by dkdkdkdkdk1 | 2010-04-27 01:46 | 鉄腕篇

ライトノベルも書いてるアルバイター大楽絢太が、情熱大陸ばりに現状垂れ流すブログ。最近は不定期更新!


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