先日の、めっちゃ疲れる無駄な出来事……!
2月某日。ど平日。
雪がチラつくような寒い日。
僕は自室で、昼過ぎ、ぼちぼち執筆活動にでも入ろうかな~と思っていました。
そこへ、奥さん登場。
「じゃあ会社行ってきまーす」
そういえばその日、奥さんは、ラノベ作家にはあまりない概念……”ゴゼンハンキュウ”? という、午前だけ休んで、午後から会社行くという”裏技”を使って、午後から出勤だったので、昼過ぎから家を出る予定になってたんでした。
ほう。
それを聞いた僕は、何故か、こう思ってしまいました。
じゃあ、まあ……?
自分も一緒に家出て、途中で分離して、駅前のスタバとか行くか?
それで、飲みものテイクアウトして、さらにコンビニでシュークリームでも買って、それ持って帰って、甘いもの食ってから仕事したら、捗りそうやん?
そんなことあんま普段やらへんけど、なんか、いいアイデアっぽいやん♪
そんなこんなで、「あ、じゃあ、俺も行くわ」僕は奥さんにそれを告げ、同時に出発。予定通り途中で分かれて、奥さんは働きに駅へ。僕はスタバへ。
無事スタバでくそ甘いカフェモカをテイクアウトして、「なんか素敵な日だわ。まだ寒いけど春も近いのかしら」なんて足取り軽く家へ向かいました。
そして、さらに予定通りローソンでシュークリームも買って、無事帰宅。
さぁ、んじゃこれ食って仕事しよか…………そんな時でした。
「ん?」
春の訪れにニッコリ笑っていた僕の顔がにわかに強張ります。
「あれ?」
でもまだまだ笑顔のまま、身体中のポケットを軽くまさぐる僕。
「無い……?」
たどり着いた自室ドアの前。
謎の事態が僕を襲います。
「…………鍵?」
平日昼間の静かなアパートの廊下にポツンとこだまする僕の声。
そう。
何故か。
身体中どこを探しても。
僕の家の鍵がなかったんですよ……。
「お、おおう……?」
パニックになりかける中……コトッ。
それでも、買ってきたカフェモカとシュークリームをいったん置いて。
「お、OKOK。大丈夫。状況はコントロールできてる。冷静になろ、俺」
一呼吸した後……再度、ゆっくり全身をもう一回くまなく探す僕。
でも、こういう時って、あれじゃないですか……。
みなさんも共感していただけると思うんですけど……。
自分がなんかしらのミス犯した時って。
いちおう、一縷の可能性に描けて、自分の心配が、可愛い勘違いやった! みたいなオチをしばらく追求するんですけど……
ほんまは分かってるじゃないですか……(笑)
内心で。真実が。
僕も、探すフリしながら、ほんとは内心理解していました……。
家を出る時、鍵を閉めたのは、奥さんやった。
そして――我が家に二つある鍵のうちの、僕のほうの鍵は、「あ、奥さん鍵しめるんや? じゃあ、俺、鍵置いていったらええわ」
どこかの誰かが、玄関の台に、意識的に、むなしく置き去りにしていっていたことに……。
「何やっとんねん……!?」
一分ぐらい悪あがきした後……ようやく受け入れました。
「これ、俺。自分の家やのに、締め出されとるやん……!」
あまりの面倒くささに頭はちきれそうでした。
なんで、俺……ええ年こいて、合鍵なくした小学生みたいに家の前に締め出されてんねん!?
「って……ん!? ちょっと待ってちょっと待って!?」
しかも――状況を理解すればするほど、けっこう危機的な状況であることが分かってきます。
「おれ、スマホも持ってきてへんし……これ、まじやばいか!?」
そう。現代人にあるまじきことですが……。僕は奥さんと家を出る時、「ま、いっか☆」どういう思考なんか……鍵だけでなく、スマホもおいてきてしまったんですよ……。
もっといえば、鞄すら持ってなかった……。リアル手ぶら。
あるのは、スタバのカードとか、幾つかのカードが入ったカードケース一つだけ。現金入った財布すら無い。
強いて言うなら、カフェモカとシュークリーム……。
「や、やばいやばいやばいやばい」
だんだんパニックになる僕。
詳しくは聞いてなかったですが、奥さん帰ってくるの、たぶんその日は、七時前後とかです。
「え? これから六時間強……! おれ、このクソ寒い廊下で過ごさなアカンの……!?」
スマホ無いから、管理会社に電話も、奥さんに電話もできひんし……大家さんも常駐してへんし……。
ま、まぁ、漫画喫茶とか探して、そこで奥さん帰ってくるまで時間潰してもええんやけど……。
原稿もやりたいし……そこまで時間ムダにしたくないんですけど……!?
なので、しばらく熟考した後……。
決断しました。
「”最終手段”しかないな……!」
僕はカードケースから、あるメモを取り出します。
そこにあるのは、……奥さんの携帯電話の番号。
そう。僕は、今回だけじゃなく、何故か携帯を家に置いたまま外出することが多くて……。
待ち合わせで合流できないなど、トラブルが多発した為、これを持ち歩くことを義務づけられてるんですよ……。
そして、一枚の千円冊。
これも、こういうこともあろうかと、カードケースに、現金千円だけ入れてました。
「この二つがあれば……いける!」
奥さんが家を出て、数十分……!
まだ、蜘蛛の糸は繋がっている……!
というわけで、家のドアの前にカフェモカ等をおいて、猛ダッシュでアパートを出る僕。
向かった先は、公衆電話……!
そう、公衆電話。場所、しっかり把握してました。
久しぶりに使うけど、なんてありがたい文明の利器なんや……! 公衆電話。
そして即、緑の電話で奥さんに電話。電話……奇跡的に繋がりました。
奥「? もしもし?(警戒する声)」
僕「もしもし? 私ですが……」
奥「ああー……ど、どうした?」
僕「鍵持ってくるの忘れたから、締め出された。やから……ほんまにごめんなんやけど。
今から……そっちの鍵。俺、会社まで取りに行っていい?」
最終手段を告げる僕……。
他に手段無かったっすわ……。
奥さんもう始業開始五分前とかやったし。
奥「えぇぇー!?」
驚愕する奥さん。
僕「忙しい中すいませんが……」
奥「それはいいけど……えぇ?」
僕「ア、アカン、えぐい勢いで一○円玉減っていくわ。とりあえず、会社近く行ったら連絡するわ。こっちスマホ無いから、近寄ったら、またその辺の公衆電話から電話しますので、すいません」
奥「え!? は、はい。じゃあお待ちしております」
ガチャン。
ツーツーツー。
慌しい会話でしたが……
受話器を置いた瞬間、安堵もしていました。
勝った……。
運命に……(?)。
奥さんの会社までは、片道三○分弱。
往復でも一時間半ぐらい?
ロスはロスやけど、まあ、夜まで待つよりぜんぜんええやろ……。
会社の位置も、うろ覚えですけど、前一緒に近く通った時教えてもらってたんで、なんとかなるはず……。
電車賃もギリ足りるはずやし……。
同じアパートの人に管理会社の電話番号聞いて、公衆電話から電話してもええけど、それでも結局解決までにそれなりに時間かかりそうやしな……。
というわけで、僕は、手ぶらのまま、電車で都心に出発。
の前に。
僕「あ、でも、もったいないし。おやつは食べてからいくか」
一回家(の前の廊下)に帰って、廊下でもそもそ、カフェモカとシュークリームを摂取……。
(この時、スマホなかったので、これは後で取り直しました……)
「っしゃ……んじゃ、行くか」
というわけで……昼下がりの二月、僕は、自業自得な冒険に出発しました……!
まぁそこからもいろいろあったんですが……。
とりあえず、
手ぶらで都心に向かう電車に乗って。
降りた先の町で、道路の地図で、奥さんの会社らしき場所に目星をつけ……移動。発見。
近くの書店等で、公衆電話の位置情報を聞き。
そこから奥さんの携帯に電話。
リアル・ドラクエの世界……!
その後、無事、奥さんと合流。
会社のビルの下に、奥さん降臨。
僕「おつかれ!」
奥「いやいや(失笑)。こっちの台詞だけど。なんでそうなる?」
僕「いや、いろいろ顛末があって……」
奥「え、天罰?」
僕「いや、顛末……。え? これ、天罰やったん……?」
とかいいながら、無事、鍵ゲット……!
クソ忙しい中、奥さん、すいませんでした……!
その後、まるで王城の宝物庫の扉を開ける鍵くらい、光輝いて見えた奥さんの鍵を携え、僕は家に帰宅。
鍵を鍵穴にさしこみ……オープン。
「やった……開いた……!」
まさか、家の鍵が開いただけで、こんな感動を味わう日が来るとは……!
鍵がある生活って素晴らしい……!
その後、なんとか仕事に復帰して、僕は被害を最小限に抑えたのでした……。
いや、抑えた……んやろうか。
というわけで以上……
二月に起こった小冒険についての無駄話でした……。
みな様も、是非、手ぶらでの外出にはお気をつけ下さい……。
あと、ゴゼンハンキュウにも。
あの異国の技せいで、俺の精密コンピューターが狂わされたんや……。
そして、近所の公衆電話のありかを確認することも忘れずに。
公衆電話、アイツ、まじでもっと評価されるべき……!
10円が消費されるスピード、イメージしてたより全然速くてビビッたけど……。
しかも100円を入れた場合、途中で通話終わってもお釣り返ってこーへんし……!
変な駆け引き要求されてる気分やった……。
前からこんな仕様やったっけ?
ま、そんなこんなな二月でした。
以上。また三更新します。
三月は平穏に暮らしたいわ…………!
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